お祭り騒ぎでハッピー
毎度ばかばかしいお笑いを一席
昔のことでございます。長屋に住んでた大工のはっつあん。江戸っ子は、宵越しの金はもたねぇって、いきがっていたのはいいのですが、借金をこさえて、食うものにも困るありさま.
そこは、江戸っ子。キップが良いというかなんというか、そんなことなら死んじまおうってんで、死んでしまいます.
ところが、死ぬ時に、どうせ死ぬんだったら、無銭飲食で、腹いっぱい飯を食っときゃよかったなぁと思ったのが、悪かったのか、気が付くと飯屋の前にいます.
「おや、おいらは死んじまったはずなのに」
よく見ると、足がありませんから、
「おや、まいったね.お化けになっちまったよ.」
でも、お化けでは普通に飯屋に入っていくわけにもいかないので、裏に回って、様子をうかがっておりますと、
「おい、ハチ公じゃねえか.おめえ、死んだんじゃねえのかい。」
ってのんきな話ですが、となりのまっつあんです。
「こりゃ、まっつあん。いいとこで会った.」
「お化けに、いいとこであったなんて言われたかないね.自分も死んじまったみてえじゃねえか.と、それでなにしてんだい.まだ、この世に未練があんのかい.」
「そうなんだよ、死ぬ前に、腹がすいててね。ああ、腹いっぱえ食ってから死ねばよかったと思ったのがいけねえみてえだ.知らないうちにこの姿ってことよ。」
「そうかい、せっかく、出てきたんだから、何か食っていきゃあいいじゃねえか。」
「それがね。おあしがねえ。」
「冗談もうまくなったな。そりゃ大変だなぁ.そんじゃ、おいらがおごってやるよ.でも、近くに飯屋なんてあったかな.」
すると、お化けのはっつあんには、相手の心が読めますから、まっつあんは本気でおごる気がないのが透けて見えます。
そこで一言
「うらめしや」
お後がよろしいようで.
(ちなみに、このうらめしやは、裏に飯屋があるのと、このまっつあんの気持ちに対してうらめしやです。)
こんな噺はどこかにありましたっけ?
ここまで読んでくれてありがとうございます.
羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶 合掌